友人関係がうまくいかない…。
家族や恋人との関係に困っている…。
我が子との関わり方が分からない…。
そのような悩みを感じている方は、たくさんいらっしゃると思います。
この記事で紹介する考え方を知れば、今悩んでいることに対して、
・自分がどう対処すればよいのか
・どのようにとらえればよいのか
について分かるようになり、悩みが解消されたり心のモヤモヤが小さくなったりします。
人間関係で悩む多くの方の解決の手がかりになれば嬉しいです。
・課題の分離の考え方
・課題を分離して考えることのメリット
以下では、アドラーの提唱した「課題の分離」の考え方をもとに、人間関係の悩み解決法についてお話していきます。
「全ての悩みは対人関係である」
心理学者アルフレッド・アドラーの代表的な言葉です。アドラーは対人関係をよりよくするための合理的な考え方を多数提唱しています。今回紹介するのはそのうちの一つ「課題の分離」です。
課題の分離とは
課題の分離とは、今悩んでいることは自分の課題なのか、他人の課題なのかを明確に分けることです。
自分の課題であれば、その課題は自分自身で解決できます。
一方、他人の課題は他人が解決するものであり、自分はそれを解決できないということです。
誰の課題なのかがはっきりしない場合は、責任を負ったり、結果を出したり、結論を出したりするのは誰なのかを考えれば、判断しやすくなります。
例として
①次のテストで100点を取る→自分の課題
②我が子の成績を上げる →他人(我が子)の課題
①はテストで100点を取るのは自分です。つまり自分の課題となります。
②は成績を上げるのは子ども自身であり、親自身が成績を上げるわけではないので、他人の課題となります。
子どもの成績を上げる責任は親にあるのでは?
子どもの成績を上げるというのは単なる親の思いであって、勉強を頑張って成績を上げるのは子ども自身です。
このように、
自分がすべきこと、他人がすべきことを明確に分けることが、課題の分離の基本的な考えとなります。
他人の課題を自分の課題と勘違いする人が多い
他人の課題を自分の課題として抱え込んで悩んでしまう人はたくさんいます。
上記の例で言えば
「子どもの成績を上げる」という強い思いがある一方で、
「子どもの成績がなかなか上がらない」という悩みをもつ親がいるとします。
大抵の親は、うちの子は勉強ができなくて…と悩みます。
この場合の親の課題は
「子どもの成績を上げる」ではなく
「子どもの成績を上げるために、できることをやる」になります。
そのために、参考書を買ってあげたり、塾や家庭教師に頼ったり、適切な学習環境を整えたりします。
これで親の課題は達成です。
子どもの成績は上がっていないじゃないか!
親は子どもの成績を上げるための最善を尽くすしかできない。
あとは、子どもの頑張りを応援するしかない。
他人の課題を自分の課題と捉えてしまうと
・他人に強く当たってしまう。
・他人に失望する。
・自分を責める。
といったことがよく起こります。
もし、この親が子どもの課題を自分の課題として捉えていたら、
子どもにもっと勉強しなさいと強く当たったり、
自分自身を責めたりすることになります。
そもそも自分以外の他人の行動をコントロールすることには無理があるのです。
だから、コントロールできない他人に対して、怒ったり悩んだりするのは何の解決にもならず、意味のないことなのです。
他人に無関心になれ!というわけではなく、
あくまでも自分の課題の中でできることをするという意味です。
他人の課題に自分が干渉しないようにしましょう。
課題の分離の考え方のメリット
自分と他人の課題を分けることには大きなメリットがあります。
ここでは大きく3つ紹介します。
無駄な悩みが減る
自分と他人の課題を分けて考えることができれば、人間関係の悩みが確実に減ります。
「今悩んでいることは、自分で解決できることではないな」
といったように悩みの根本的なところに目を向けることができます。
そもそも悩むというのは、答えが出ないことについて思考することです。
だから、悩んだ先に答えはないのです。
同様に、他人の課題に対して悩んでも、自分で解決はできないのです。
A子さんは僕のことを好きなんだろうか…?
これは簡単な例ですが、
A子さんが誰を好きになるのかということは、A子さんの課題です。
これで悩むのは完全に無意味です。
ここでの自分の課題は
・A子さんに好かれるように最適の行動をとる。
・自分が好きかどうか聞く(告白する)。
ということになります。
このように、他人の課題に悩むのではなく、
・自分は何をすべきか
・何ができるのか
という自分の課題に切り替え前向きに考えて行動していきましょう。
他人の行動や結果に対し、寛容になる
他人の課題に干渉しなければ、他人に対して
・こうあるべきだ
・このようにしてほしい
・これをさせたい
といったように、自分の思いや願いを押し付けることがなくなります。
結果として、人に対して優しくおおらかな気持ちで接することができるようになります。
そして、周りの人たちも自分らしく、自分が望む行動ができ、のびのびと生活していくことができます。
他人の課題に干渉することは、いわば自分の価値観の強制、他人支配のようなものです。
自分も大切に、そして自分と同じように他人も大切にする気持ちをもつことが大切ですね。
割り切って考えることができる
課題を適切に分離できれば、
・これは自分の課題だ
・これは他人の課題だ
・これは自分の課題ではないからやらなくてもいい
と割り切った考えができるようになります。
無責任な発言じゃないか!
自分の課題ではないことに、責任を感じる必要はないよ。
一見、無責任で自己中心的な考え方に見えますが、これはとても合理的で正しい考え方です。
そもそも多くの人は、他人のやるべきことをわざわざやってあげたり、手伝ってあげたりする優しさがあります。しかし、これは他人の課題に干渉しているとも言えます。
本来自分がやらなくてもいいことであれば、それをやらないからという理由で責められたり、咎められたりすることはおかしなことです。
「無責任だ」と発言している人がいるならば、
すかさず言い返してみましょう。
それって誰の課題?誰が責任を負うべきことなの?
まとめ
以上、アドラー心理学の「課題の分離」の考え方について、簡単に紹介してきました。
人間関係で悩む人が多数いますが、他人の課題で悩む人も多いです。
課題の分離の考え方を生かし、悩みの少ない人生にしていきましょう
本記事の考え方がよくわかる本に「嫌われる勇気」があります。
ベストセラーで、私も大きな学びを得た本です。ぜひ本屋さんで手に取ってみてほしいと思います。